各種ピロリ菌検査:内視鏡時の迅速ウレアーゼテスト(ピロリテック)や尿素呼気テスト(UBT)、血液または尿の抗体検査、便抗原検査。
内視鏡で萎縮性胃炎などの所見があり、ピロリ菌検査が陽性(他施設の結果でも可)のときはヘリコバクタ・ピロリ感染胃炎の診断で保険治療が行えます。
(内視鏡検査を行わないで除菌する場合は自費診療となります。除菌の判定も自費となり、除菌自体の目的が胃がんの発生予防にあるので内視鏡検診は必須と思われ当院ではお勧めしていません。)
参考までに血液検査でのピロリ菌抗体(IgG抗体)は自費で2500円です。
胃、十二指腸潰瘍の診断でピロリ菌陽性のときももちろん保険診療で除菌できます。
当院では平成27年までは1次除菌にランサップ(ランソプラゾール+AMPC+CAM)
2次除菌をランピオン(ランソプラゾール+AMPC+MNZ)のパックされた治療薬で除菌治療してきました。
2次除菌までで100%近い治療率ですが、従来のランソプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤(PPI)とAMPC+CAMでの1次除菌率は75%くらいです。
従来のPPIとは異なる作用機序のP-CAB(タケキャブ)が発売され、その酸を抑制する力と持続効果も長いためP-CAB+AMPC+CAMの1次除菌率は90%以上との報告が多くみられます。
当院でもその差は無視できない(1次除菌で成功すれば、患者様の治療薬を飲む負担や費用がずっと軽減されます)ので、1次除菌はボノサップ400 P-CAB (タケキャブ) 20mg+AMPC750mg+CAM 200mg 1日2回 7日間で治療しています。
2次除菌もボノピオン(P-CAB+AMPC+MNZ)で治療しています。(両者ともパック製品です)
(ただしタケキャブで下痢のひどいことがわかっている方などは、他のPPIと抗生剤の除菌治療を行います。)
除菌後の注意
ピロリ菌を除菌することで胃炎は改善(きれいな胃粘膜に戻ります)し、胃十二指腸潰瘍の再発もほぼなくなります。
胃がん発生のリスクも低下しますが、除菌が成功した方の胃は今までピロリ菌に感染していない方の胃とは異なります。
胃がんの発生に関連した物質に長年曝されていたわけで、除菌成功例からの胃がん発生もよく知られた事実です。
胃がんのリスクがゼロになったというわけではないのです。
せっかく除菌できたのですから早期胃がん(内視鏡治療が可能な病変)を見逃さないように、少なくとも1年に1回は胃がん検診のための内視鏡検査を受けましょう。